【小売業】売価設定で必要な基本計算式【儲けるコツまで徹底解説】

・小売業(商売)の仕事をしているけど、じつは売価を決めるための必要な計算式とかキチンと把握できていない…。
いまさら人に聞くのも恥ずかしい…
・未経験な人(新入社員)に小売業で使う売価設定の計算とか教えたいけど上手く教えることが出来ない…
こういった疑問や悩みにお答えします。
本記事では、小売業(商売)の仕事では必須の売価設定の計算が理解出来るように、青果小売業歴20年以上の僕が、噛み砕いてわかりやすく解説します。
また、売価設定において儲ける(利益を出す)ためのコツ(ポイント)も解説しますので、上記のような疑問や悩みのある方はご覧いただけたらと思います。
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知っているか知らないかの差は、結果にかなり大きく影響しますよ。
【小売業】売価設定で必要な基本的な計算式【儲けるコツまで徹底解説】
商売(小売業)に必要な計算式はいろいろありますが、何を知らなくてもこれを知っておかないと話にならないというのが売価設定です。
・商品を仕入れる
・その原価に利益を乗せて売価設定をし販売する
・商品が売れることによって利益が確保出来る
・それによって商売が成り立つ
ですからね。
つまりこれを計算式で表すと下記の通りです。
単純にはこの売価をどのように設定するかによって利益が大きく変わってきます。
その売価を設定するための計算式(計算方法)を解説します。
売価設定(値入れ)の計算式
売価設定の計算式はじつはいろいろありますが、基本的には一番シンプルな「原価と値入率から計算する方法」、つまり「仕入れ価格(原価)に利益を乗せて売価を決定する方法」を知っていれば問題ないです。
その計算式は下記の通りです。
ちなみに値入率というのは「売価の中の利益の割合(%)」のことです。
シンプルな例で解説します。
この場合どのように計算するかというと、
売価の計算式は「原価÷(1―値入率)」なので、
100÷(1-0.3)
=100÷0.7
=142.857…(四捨五入して143円)
これで3割の利益を乗せた売価になるのですが、ただ小売相場というものがあって、143円というのはあまりにも中途半端なので158円でOKです。
これで確実に売れていけば3割以上の利益が確保出来ることになります。
ちょっとややこしい?「(1-値入率)」
ここで「?」となるのが、計算式の「1-(値入率)」ですよね。
今回の例でいうと(1-0.3)の部分です。
なぜ0.3を引くのかを簡単に解説すると下記の通りです。
「100%=1」なので「30%=0.3」。
ということは「1-0.3=100%-30%」になるから
なぜ0.7で割ることで3割の利益を乗せた売価になるのか?
次に
これも疑問に思う方も多いかもしれませんので解説します。
・まず売価は100%
・値入れ率30%であればその売価の中の割合が「原価70%」「利益30%」
(ここで「%」よりも「割」で考えた方がわかりやすいので切り替えます。上記の例でいうと売値は100%で「10割」、そして「原価7割」「利益3割」です)
・売価の中の利益が3割なら原価は7割なので、原価を7で割ることで(最終的に計算される)売値の1割がいくらなのかを一度計算
・それを×10する(10割にする)ことで原価に3割の利益を乗せた売価が計算出来る
・この計算を一発で出来る計算式が「売価=原価÷(1-値入率)」
上記の通りです。
この計算式を一度理解して覚えると楽ですよ。
たとえば35%の利益を乗せて(値入れ率35%で)売価を設定したければ、「(1-0.35)」の0.65で原価を割れば簡単に計算出来ますからね。
【要注意】外掛け/内掛け【売価設定は外掛けで計算しないと儲からない】
ここで
このような疑問が浮かびますよね。
よく間違いやすいのが「3割の利益を乗せた売価を計算」=「×1.3」にすることです。
ただこれでは3割の利益確保にならなくて、もしこの計算式で売価を決めていると「ぜんぜん儲けられない」ということになるので要注意です。
その理由を解説します。
「×1.3」だと3割の利益を乗せた売価にならない
「なぜ×1.3では3割の利益を乗せた売価にならないのか?」ですが、これを調べられる計算式もあるので前回と同じ例で解説します。
100円に1.3を掛けると「100×1.3=130円」になりますよね。
これで本当に3割の利益が確保出来ていないのかを調べる計算式(方法)が下記です。
値入率は売価の中の利益の割合なので、これが3割(30%)以上になっていないと3割の利益を乗せた売価になっていないことになります。(このように1品だけで売価を考える時は、値入れ率も利益率も同じですが)
実際に130円ではどうなのか?を計算してみると
売価130円-原価100円=利益30円
利益30円÷売価130円=0.2307692308(0.23でいいですが)
これを%にするために100を掛けると
0.23×100=23%
つまり値入れ率(利益率)は3割(30%)確保出来ていないわけです。
÷0.7だと3割りの利益確保になる
では「売価=原価÷(1-値入率)」で計算した「100÷(1-0.3)→ 100÷0.7 → 142.857…円(これも四捨五入で143円でいい)」で計算してみると、
売価143円-原価100円=利益43円
利益43円÷売価143円=0.3006993007(これも0.3でいいです)
これを%にするために100を掛けると
0.3×100=30%
きちんと3割の利益が確保出来ています。明らかですよね。
「×1.3」と「÷0.7」の違いって何?
ここで
気になりますよね。
その答えは「内掛け」「外掛け」と呼ばれているものです。上記の例でいうと、
・100x1.3=130 → 内掛け
・100÷0.7=142.857… → 外掛け
です。
(たとえば3割だと)
・内掛け → 原価の3割が利益
・外掛け → 売価の3割が利益
つまり同じ(利益率)30%でも「何に対しての30%なのかの違い(差)」ということす。
実際には売価の3割が利益じゃないと利益率3割(%)を確保することが出来ないので、売価を決める時は「÷0.7」の外掛けで計算するのが正解ということになります。
つまり、売価設定するときは利益計算を“外掛け”でやらないと適切な利益が確保出来ないということです。
もし内掛けで計算してしまっている方は、すぐに外掛けに路線変更してくださいね。
初期値入れの重要性について
例えば会社員の方であれば、だいたいどの会社でも「粗利益率予算」(30%必達など)があると思いますが、これが確保出来ていない場合の原因は
・最初の売価設定の値入れ率の低さ(初期値入れの低さ)
・計算方法の間違い
上記に原因があることが多いです。
ちなみに粗利益率とは「売上に対する利益の割合」のことで下記の計算式で求められます。
値入れ率とは
値入れ率というのは「原価に対してどれだけ(何割)の利益を乗せられているか」、つまり「売価の中の利益の割合(%)」のことです。
計算式は先ほどの粗利益率と同じ(先程も紹介しましたが)
で計算することが出来ます。つまり「利益額を売価で割って、それを率にするために100を掛ける」わけです。
例えば「原価100円/売価150円」の商品だと、
値入率は「約33%」になります。つまり、実際に販売している売価が何%の値入れ率になっているかの確認を計算する方法になります。
儲けるための初期値入れのコツ
初期値入れ、つまり初めの売価設定ですが儲けるためのコツがあります。
それは下記の通りです。
極論で言うと、まずは高い売価をつけるということです。
これは当たり前と思われるかもしれませんが、「はじめから安く設定してしまって利益が確保出来ていない」という人が意外と多いです。
高いといっても、世間の小売り相場から外れすぎた“ぼったくり”の値段をつけるのはもちろんダメですよ。お客さん離れていってしまいますからね。あくまでも「適正売価の範囲内で」です。
当たり前ですが、初期値入れの時点で安すぎる売価設定をしてしまうとそれ以上の粗利益率は確保出来ないですからね。
たとえば粗利益率予算が30%なのに初期値入れの時点で25%の値入れしかしてなければ、どうやっても30%の粗利益率は確保出来ないです。25%で設定してしまうと、確保出来る最大の粗利益率で25%なので、当たり前ですがこれではダメということです。
さらにもし粗利益率30%確保が必須であれば、ロスも見込んで35%程度の値入れ率から売価を設定しないといけないことになります。
これについては下記の記事で解説しています。
最後に
ということで小売業では必須の売価設定についての解説でした。
この“値入れ”というのは商売の仕事をしていく上では絶対に欠かすことの出来ない重要な仕事ですので、最低限必要な知識として徹底して頭に叩き込んでもらえたらと思います。
最後に本記事のポイントをまとめます。
・利益=売価―原価
・売価=原価÷(1―値入率)
・値入率=利益(売価-原価)÷売価×100
・内掛け→原価の○割が利益
・外掛け→売価の○割が利益
・売価設定(初期値入れ)は高い方から
参考にしていただけると幸いです_(..)_
P.S.
「売上を上げるための方法」については下記の記事で解説しています。
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