AI時代でもスーパーの現場職はなくならない|現場20年の僕が断言する理由

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「スーパーの仕事ってAIでなくなるの?AIが仕事を奪うっていう情報が多くて不安…スーパーの現場職って、これからも大丈夫なのかな?」

青果バイヤー歴20年以上、個人青果店・スーパー・百貨店と現場を渡り歩いてきた僕が、この問いに正面から答えます。

結論から言うと、スーパーの現場職はそう簡単には消えません。でも「なんとなく大丈夫」じゃなく、現場を知っている人間だからこそ言える、ちゃんとした理由があります。

不安を感じているなら、ぜひ最後まで読んでみてください。

AIが仕事を変えているのは、本当のこと

 AIによる自動化は進んでいる。でも「現場の仕事」と「デスクの仕事」では話がまったく違う。

AIによる自動化は進んでいる。でも「現場の仕事」と「デスクの仕事」では話がまったく違う。

ChatGPTをはじめとする生成AIの進化は、想像以上のスピードで進んでいます。文章を書く、データを分析する、コードを書く、デザインをする。こういった「デジタル上で完結する仕事」は、どんどんAIに置き換わっていきます。

「自分の仕事は大丈夫か?」と不安になるのは、当然のことです。特にデスクワーク中心の職種にいる方は、すでにその波を肌で感じているはずです。

では、スーパーの現場職はどうなのか。僕の答えは「構造が根本的に違う」です。

AIと現場職、何が違うのか

 AIが得意なことと、現場の仕事は「土俵が違う」。同じ物差しで測れない。

AIが得意なことと、現場の仕事は「土俵が違う」。同じ物差しで測れない。

同じ「仕事」でも、AIが得意な領域と現場の仕事では、やっていることがまったく違います。並べてみるとわかりやすいです。

AIが得意なこと:
売上データの集計と分析、在庫管理の自動化、定型メールや報告書の作成、価格変動のシミュレーション。

現場の人間にしかできないこと:
今日の湿度でレタスの傷みを判断する、雨の前日に鍋物食材を前出しする判断をする、お客さんの表情を読んで声をかけるタイミングを計る、産地の霜のニュースを聞いて仕入れ計画を即座に変える。

このズレが本質です。「デジタルの世界」と「現実の空間」では、仕事の性質がまるで違います。AIはデジタル上のデータを処理することは得意ですが、「現実空間でリアルタイムに判断する」という仕事は、まだまったく別の話です。

デスクワークが置き換わりやすいのは、パターン化できてデジタルで完結するからです。遠隔・自動処理・24時間稼働が可能で、企業の人件費削減の圧力とも合致します。これは避けられない流れです。

でも現場は違います。

それでも”現場の仕事”が消えにくい理由

 現場の仕事は「身体性+リアルタイムの判断力」が必要。これはAIが最も苦手な領域。

現場の仕事は「身体性+リアルタイムの判断力」が必要。これはAIが最も苦手な領域。

現場の仕事には3つの壁があります。

1つ目は「五感の壁」です。青果・鮮魚・精肉の品質判断は、硬さ・色・香り・弾力、すべて五感で行います。カメラとセンサーで代替できる部分もありますが、総合的な判断はまだ人間にしかできません。

2つ目は「臨機応変の壁」です。天候・仕入れ状況・地域の行事・その日のお客さんの動き。これらはすべて予測不能の連続です。マニュアルがない判断を、現場では毎時間のように求められます。

3つ目は「コストの壁」です。仮に技術が実現したとしても、スーパー1店舗に導入できるレベルのコストにするには、まだ何十年もかかります。完全AI化される可能性がゼロとは言いません。でも「技術が実用化されて、かつコストが見合うレベルになる」まで、現場の人間が必要なフェーズはかなり長く続きます。

スーパー現場の「リアルな1日」を知っていますか

 売場は毎日違う。同じ日は一日もない。それが現場の仕事の本質。

スーパーの売場は毎日違う。同じ日は一日もない。それが現場の仕事の本質。

20年以上現場にいる僕が断言できることがあります。売場は「生き物」です。

台風が来る前日、お客さんがどっと押し寄せて葉物野菜が一気に売り切れる。地域の運動会が重なった週末、弁当に使えるフルーツの動きが明らかに変わる。産地で霜が降りたというニュースが流れると、仕入れ判断を即座に変える必要が出る。

こういった判断を、現場の人間はほぼ無意識にこなしています。長年の経験が「感覚」として体に染みついているからです。

五感を使う仕事というのも、外からは見えにくいですが相当なものです。

以前、こんなことがありました。百貨店で働いていたとき、お客さんから「明日の誕生日にメロンを贈りたい、食べ頃のものを選んでほしい」と声をかけられました。その日入荷していたメロンを一つひとつ手に取って、香り・重み・おしりの柔らかさを確認して、「これは明日の夕方頃が一番おいしいです」と一個選んでお渡ししました。そのときのお客さんの「ありがとう、助かりました」という一言は、今でも覚えています。

データでこれはできません。AIに「明日の夕方が食べ頃のメロン」を選ばせることは、今の技術では不可能です。

いちごの香りで熟度を判断する、スイカを叩いた音で空洞を見抜く、魚の目の色で鮮度を確認する。写真やデータで伝えられるものではありません。

感情労働の部分も見逃せません。クレーム対応、混雑時間帯の緊張感、お客さんの細かい要望への即応。これも現場にしかない仕事です。

関連記事​スーパーで働くデメリットとメリット|就職や転職の際の参考ポイント

正直に言います。現場の仕事はきつい

 きつさを知った上で「それでも」と言えるのが、現場で生きてきた人間の言葉の重さ。

正直、スーパーの現場の仕事は楽ではない

良いことばかり書くつもりはありません。現場の仕事はきついです。

体力面では、青果だけで1日に動かす段ボールが数十箱になることも珍しくありません。スイカのシーズンは1玉8〜10kgのものを何十個も運びます。立ち仕事が基本で、休憩以外はほぼ動き続けます。

繁忙期の忙しさは今も変わりません。ただ働き方改革以降、残業時間や休日については改善されているスーパーがほとんどです。それでも年末の売場の忙しさは、体で覚えるしかない経験です。

廃棄についても触れておきます。どれだけ丁寧に扱っても、生鮮食品はロスが出ます。自分が仕入れて値をつけた商品が廃棄になるとき、20年やってもメンタルは削られます。これは数字では伝わらない感覚ですが、現場の人間なら全員わかるはずです。

ただ、ここで伝えたいのは「それでも続けられる理由がある」ということです。きつさを知った上で語るから、この先の話に意味があります。

それでも生活が安定しやすい理由

 食は景気に左右されない。スーパーの現場は「生活インフラ」の最前線。

食は景気に左右されない。スーパーの現場は「生活インフラ」の最前線。

スーパーが扱うのは「食」です。

どんなに景気が悪くなっても、人は食べなければ生きていけません。リーマンショックのときも、コロナ禍のときも、スーパーだけは営業を続けていました。むしろコロナのときは需要が増えたくらいです。

地域に根ざしたスーパーは、チェーンが変わっても需要がなくなることはありません。特別な資格がなくても、現場経験が積み上がれば確実に「食っていける」スキルになります。

派手さはないですが「持続力」という意味では、スーパーの現場職はかなり強い選択肢です。年齢を重ねても続けやすく、どこの地域に行っても仕事がある。これは他の業種にはなかなかない強みです。

スーパーの仕事に向いている人・向かない人

 合う・合わないはある。でも「向いている人」にとっては、これ以上ない安定した仕事。

スーパーの仕事は、合う・合わないはある。でも「向いている人」にとっては、これ以上ない安定した仕事。

向いている人は、こんな方です。体を動かすことが苦じゃない、チームで働くのが好き、臨機応変な対応が得意、「人の生活を支える仕事」に誇りを感じられる。こういった方には、現場の仕事は本当に向いています。

向かない人も正直に書きます。完全なデスクワークを望む方、接客のストレスが強い方、土日の勤務が難しい方、体力仕事が厳しい方。これらに当てはまるなら、別の選択肢を探した方がいいかもしれません。

現場の仕事を美化するつもりはありません。合う人には最高、合わない人にはきつい。それが正直なところです。

20年以上現場にいる人間として、伝えたいこと

 AIは道具。現場は別世界。この仕事を「底辺」と呼ぶ人間に、僕は同意しない。

AIは道具。現場は別世界。スーパーの仕事を「底辺」と呼ぶ人間に、僕は同意しない。

個人青果店で仕入れから販売の基礎を覚え、スーパーで売場を任され、百貨店で接客の極意を学んだ。20年以上、ずっと「食」の現場にいます。

今、僕はAIを使いこなしながらこの記事を書いています。AIは本当に便利な道具です。でも、AIが僕の代わりに朝の競りで青果を目利きすることはできません。お客さんの「このメロン、明日の誕生日に使いたいんだけど」という言葉に、五感で応えることもできません。

スーパーや百貨店で食を届けている仕事は、誰もが絶対に必要としている仕事です。それを「底辺」と呼ぶ人間がいるなら、僕はそれに同意しません。社会のインフラを支えている仕事に、誇りを持っていい。

楽ではないです。でも「食っていける仕事」であることは間違いない。不安な時代の現実的な選択肢として、スーパーの現場職はもっと評価されていいはずです。

AIが何を変えても、人が食べる限り、この仕事はなくなりません。これは「消えない仕事」じゃなく、「残り続ける仕事」です。

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よくある疑問(Q&A)

Q&A|AI時代でもスーパーの現場職はなくならない

Q. AIが進化したら、スーパーのレジや品出しは全部自動化されますか?

レジのセルフ化は進んでいますが、青果・鮮魚・精肉などの生鮮部門の品質判断や売場管理を完全に自動化するには、コスト・精度・安全性の壁が高すぎます。技術が実用化されるまでには相当な時間がかかりますし、仮に一部が自動化されても「人の判断と感覚の補完」が必要なフェーズは長く続きます。

Q. スーパーの現場職は将来的にも安定していますか?

「食」を扱う仕事は景気に左右されにくく、生活インフラとしての需要は安定しています。コロナ禍でも需要が落ちなかったのがその証拠です。AIや自動化の波は来ますが、生鮮現場の仕事が完全になくなる可能性は、少なくとも当面はほぼありません。

Q. 現場経験がスキルになると言いますが、具体的にどんなスキルですか?

品質判断・売場管理・仕入れ判断・接客対応・チームマネジメント・商売の損益感覚。これらは現場でしか身につかないスキルです。特別な資格はなくても、この経験は他の仕事にも転用できますし、同業他社でもどこでも通用します。

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まとめ|華やかじゃない。でも、消えにくい

スーパーの現場職は華やかじゃない。でも、AI時代でも消えにくい

AIが仕事を変えていく時代、「好き」より「続けられる」を基準に仕事を選ぶことが現実的になってきました。

スーパーの現場職は派手じゃないです。でも食を届けるという絶対になくならない需要の上に成り立っていて、五感と判断力が必要な仕事は、AIに簡単には代替できません。

不安な時代だからこそ、現実的に「食っていける仕事」を選ぶことは、正しい判断だと思います。

現場で働くすべての人に、誇りを持ってほしい。そう思いながら、この記事を書きました。

この仕事は、派手じゃない。でも、確実に人の生活を支えています。

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