安心して食べるために知っておきたい!野菜や果物の農薬や防腐剤について|落とし方(除去の方法)や皮に含まれる栄養素も解説
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悩む女性
「野菜とか果物って、皮の部分に栄養が多いから皮ごと食べたいけど、農薬とか防腐剤が心配…。おすすめの洗い方(除去の方法)があれば教えて。」
こういった心配や疑問に、野菜・果物販売歴20年以上の僕がお答えします。
お客さんといろいろなお話をしますが、農薬や防腐剤(防ばい剤)についてもよくご質問をいただきますからね。
わかりやすく解説していきますので、参考にしていただけると嬉しいです。
長文のお詫び
すべて読んでいただけると嬉しいですが、少し長めになりますので、[目次
]で気になる箇所をピックアップしつつ読んでいただけると嬉しいです。
野菜や果物の農薬や防腐剤(防ばい剤)の使用について
一番気になるのが輸入フルーツの防腐剤(防ばい剤・防カビ剤)だと思います。
お客さんからよく
「輸入フルーツには防腐剤(防カビ剤・防ばい剤)が使われているみたいだけど本当に大丈夫?農薬も大量に使われているという情報もあるし…。」
というご意見やご質問をいただきますからね。
順番に掘り下げて解説します。
輸入フルーツに使用されている防腐剤(防カビ剤・防ばい剤)の種類
輸入フルーツに使用されている主な防腐剤は以下の通りです。
- OPP(オルトフェニルフェノール)
- OPP-Na(オルトフェニルフェノールナトリウム)
- TBZ(チアベンダゾール)
- イマザリル
- フルジオキソニル
- ピリメタニル
- アゾキシストロビン など
主に「グレープフルーツ」「オレンジ」「レモン」などの柑橘類に使用されています。
これらの防腐剤は食品添加物で、どの果物にどの防腐剤が使用されているのかを販売するお店はキチンと表示する義務があります。
輸入フルーツが入荷してきた箱には「どの防腐剤が使用されているのか」が記載されていますので、お店ではPOPなどに「防腐剤(防ばい剤・防カビ剤)~使用」と表示します。
(ちなみに「防ばい剤(防黴剤)」や「防カビ剤」と呼ばれることがありますが、どちらも同じことでその総称が「防腐剤」です。)
輸入フルーツに防腐剤(防カビ剤・防ばい剤)が使用される理由
理由はシンプルで、輸入果物は収穫されてからお店で販売させるまでに、輸送でかなりの時間がかかるので、それによって腐ってしまうのを防ぐためからです。
表面(皮)に防腐剤を使用することによって少しでも鮮度を持たせようとしてるわけですね。
輸送時の腐敗を考えると使用せざるを得ないわけです。
使用方法としては、たとえばオレンジであれば、収穫後にヘタなどを取り除いてから水洗いをし、その後にOPP-NaをかけてからTBZやイマザリルを皮に塗るという感じです。
輸入フルーツに使われている防腐剤の危険性や健康などへの影響
これが一番気になるところと思いますが、以下の通りです。
- 輸入フルーツに使用されている防腐剤の種類や量は危険性や健康への影響を考慮した上で国が基準値を定めている
- 上記の基準値内のものだけが輸出・輸入されて市場に流通している
- 皮をキチンと洗ってから食べれば問題なし
ちなみにですが「◯◯に使用されている△△の残留濃度は~ppm」という情報は、実際にお店でお客さんに説明しても
- ~ppmとか言われてもよくわからない。
- そんなに細かすぎる数値のことを考えてたら何も食べられない。
- そもそも食べたらダメな商品なら販売中止になるでしょ。
- 結局、どうやったらその防腐剤はキレイに洗い落とせるの?
という声(意見)ですので、本記事でも「◯◯に使用されている△△の残留濃度は~ppm」という細かすぎる情報は割愛させていただきます。
「輸入の果物には、農薬が大量に使用されているから危険」という情報は本当なのか
輸入果物に使用されている農薬ですが、少しややこしいことがあります。というのが上記で紹介した防腐剤も農薬なんですよね。
それらの防腐剤は日本では農薬として使用することが禁止されています。
ですが添加物として輸入フルーツについての使用は認められているんです。
その防腐剤(農薬)以外にも完全に農薬を使わずに栽培されたもの以外については普通に農薬は使われています。(防腐剤以外の農薬についてはお店で販売する時に表示する義務はないです。)
ちなみに農薬を使わずに栽培された農作物の表示は少しややこしくて、「誤解を与えてしまう」「定義が曖昧」ということで、平成16年に農水省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」によって、「無農薬栽培~」「減農薬栽培~」などの表示をすることが禁止になり、「特別栽培農産物」に統一されました。
「輸入フルーツは、腐らないほど大量の農薬が使われているので危険」という情報はオーバーすぎる
上記でお話ししたように、国が定めた基準値内で防腐剤や農薬が使用されているものが流通しているわけですし、僕自身ずっと青果業で働いているのでわかりますが、輸入フルーツも明らかに腐ります。
ですので「果実が腐らないほど大量の農薬使用」のような、過剰な表現で不安を煽るような情報は鵜呑みにしないことですね。
国産の果物に防腐剤や農薬は使用されているのか?
まず防腐剤に対する答えは「輸入フルーツに使用されているような防腐剤は使用されていない」です。
そもそも使用が禁止されていますからね。
野菜の農薬や防腐剤は?
野菜については上記の果物と同じで、輸入フルーツに使用されているような防腐剤は使用されていないですね。
ただ無農薬で栽培されているもの以外は、国が定めている基準値内の農薬は使用されていますね。
「野菜や果物の皮には栄養豊富なので、皮ごと食べましょう!」という話
よく「野菜や果物の皮には栄養が豊富に含まれているので、皮ごと食べましょう」とい言われますよね。
これは事実でして、栄養を少しでも豊富に摂取するためには皮ごと食べる方がいいですね。
そこで心配で気になる農薬や防腐剤については、洗い方を後程わかりやすく解説しますし、この「野菜や果物の皮には栄養が豊富」については、また別記事で詳細をお話ししますが、ここでは
- なぜ野菜や果物の皮の部分には栄養が豊富なのか?
- 皮に栄養が豊富な主な野菜と果物は何?
をお話しします。(少し語弊があるかもですが)
なぜ野菜や果物の皮の部分には栄養が豊富なのか?
理由は下記の通りです。
太陽の光によく当たっている野菜や果物
- 太陽の光を浴びて光合成をすることで栄養分が作り出される
- 紫外線から身を守るために外側に栄養分を集めている
土の中にあって太陽の光に当たらない根菜類(野菜)
- 水分を逃さないために外側に栄養分を集めている
- 食物繊維を果肉よりも外側に集めることで組織を支えている
皮に栄養が豊富な主な野菜と果物
掘り下げては別記事で紹介しますが、ざっくり紹介すると下記のような感じです。
・茄子 ・人参 ・じゃがいも ・玉ねぎ ・南瓜 ・さつま芋 ・ごぼう ・大根 ・りんご ・キウイフルーツ ・柑橘類 など
もちろんその他の野菜や果物にも豊富なものはたくさんあります。
食べる前にはきちんと洗いましょう!|洗い方を解説
いくら防腐剤が使用されていなくて、農薬が基準値内の使用でも、やはり何でも食べる前にはきちんと洗った方がいいですね。とくに皮ごと食べる果物であればなおさらです。
とくに小さなお子様のいる方であれば農薬の問題は気になると思いますので、農薬を洗い落とすための洗い方を順番に解説していきます。
流水で洗う
基本的には流水で30秒程度洗えばOKです。
よく「ボウルに貯めた水の中で洗う」という情報もありますが、それは後で紹介する重曹を使って洗う場合で、ただ水で洗う場合は流水ですね。
なぜかというと、ボウルに貯めた水の中で洗うだけだと、せっかく洗い流した汚れや農薬がまた付着してしまうからです。
重曹を使って洗う
上記で少し触れましたが、重曹を使って洗うことで流水の時だけよりも汚れや農薬を洗い落とすことが出来ます。(この場合はボウルに貯めた水を使います)
方法は簡単で下記の通りです。
食用可の重曹をボウルに貯めた水に溶かして(目安としては大さじ1くらい)、そこに約30秒くらい浸けてから流水で洗い流すだけ
なぜ約30秒くらいなのかというと、それ以上浸け過ぎるとせっかくの栄養素などが溶け出しまうからです。
50度洗いする
もし「重曹がない」という方は、50度洗いをすればOKです。
50度洗いというのは、50度前後の温度のお湯で食材を洗うと、ヒートショックという現象が起こって、とくに葉物野菜がシャキッとみずみずしくなることで有名ですが、じつは農薬も落とせる方法なんですよね。
方法は簡単で下記の通りです。
50度のお湯に約2~3分くらい浸けてから、その後流水で洗うだけ
ちなみに「50度のお湯ってどうやって作ればいいかわからない」とお客さんから質問されたことがありますので、作り方を解説します。
といっても簡単で、以下の通りです。
- 沸騰させたお湯と常温の水を同じ量混ぜる
- すると約55度くらいのお湯になる
- 温度計(調理用)で温度を測りながら水を少しずつ加え、50度になるように調整する
専用の洗剤を使う
野菜や果物の農薬や防腐剤をサッとキレイに洗い落としてくれる専用の洗剤を使う、これが一番確実で簡単な方法です。
おすすめの洗剤については、以下の記事で紹介していますので参考にしてみてください。
参考記事
野菜/果物用洗剤おすすめ4選【残留農薬・防腐剤・ウイルス除去に】
おすすめの野菜・果物用洗剤が知りたい方向け このような声が世の中的に多くなり、野菜や果物を洗うた…
おわり
最後に記事のポイントを簡単にまとめます。
- 野菜や果物に使われている農薬や防腐剤の量は、国が定めた基準値以内で、その条件をクリアしているものだけが流通している
- とはいえ、食べる前にはキチンと洗いましょう
- 基本には流水で30秒程度洗い流せばオッケー
- 流水だけでは心配な方は「重曹を使って洗う」「50度洗いする」と安心
- もっと簡単で、しかも確実に農薬や防腐剤を洗い落としたい方は野菜・果物用の洗剤を使うのがおすすめ
以上、参考にしていただけると嬉しいです。